実家のこと、何から始めればいい?最初に確認する3つのこと
親の実家のことが気になっている。でも、売るのか、残すのか、相続の話をするのかまでは決められない。そんな段階では、結論を急ぐより、家の状態・お金・親の希望と今の名義を、家族で同じ材料として持つことが大切です。
この記事は約6分で読めます
- 親は70〜80代で、今後も実家に住めるのか少し気になっている
- 空き家、維持費、名義の話が一度に出てきて、どこから確認すればよいか分からない
- 査定や相続相談の前に、家族で共有する事実をそろえたい
1. 家の状態を確認する
最初に家の状態を見るのは、売る・残すを決めるためではありません。親が今の家で安全に暮らせるか、将来空き家になったときに管理で困りそうな場所はどこかを、家族で同じ材料にするためです。
まずは、親が毎日通る動線を写真に残します。玄関、廊下、寝室、トイレ、浴室までをたどり、段差、暗い場所、滑りやすい床、手すりの有無を確かめます。消費者庁も、高齢者の転倒・転落が骨折や頭部外傷につながることがあるとして、生活環境への注意を呼びかけています(消費者庁「高齢者の事故を防ぐために」)。
次に、空き家になった場合に管理負担や近隣への影響が出やすい場所を見ます。雨漏り跡、外壁の浮き、雨どい、窓、庭木、塀、郵便物のたまり方は、家族だけで管理を続けるか、外部に頼むかを考える材料になります。
写真に残しておくと、家族会議だけでなく、ケアマネジャー、自治体窓口、管理サービスへ状況を説明しやすくなります。手すりや段差の解消は介護保険の住宅改修の対象になる場合があり、空き家管理では国土交通省が通気・通水・郵便物・庭木などの確認を案内しています(国土交通省「空き家の管理のやり方」)。
一度で全部そろえる必要はありません。まず親の安全に関わる室内、その次に空き家管理に関わる外回り、という順番で残すと話し合いに使いやすくなります。
2. お金を確認する
実家のお金は、まず支出と維持費を年額で把握します。目的は、今すぐ売る・残すを決めることではなく、家族で管理を続けられる負担なのかを話せるようにすることです。
最初に集めるのは、固定資産税通知書、火災保険の証券、電気・水道・ガスの明細です。ここに草刈り、庭木、修繕の領収書、帰省交通費を足すと、税金以外に毎年どれくらい出ているかが分かります。
特に見落としやすいのは、空き家になっても残る費用です。誰も住んでいなくても、保険、最低限の電気・水道、草刈り、郵便物の確認、台風後の見回りなどは残りやすく、遠方なら帰省交通費も負担になります。
国土交通省の空き家所有者実態調査では、年間の維持管理費は「10万〜20万円未満」が16.7%、「30万円以上」が8.5%です。この数字は平均額として使うのではなく、自分の実家が家族だけで続けやすい範囲なのか、管理サービスや売却・活用も比べる段階なのかを考える目安にします(国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」)。
最後に、「誰が払っているか」も分けておきます。親の口座から落ちている費用、近くの兄弟姉妹が立て替えている費用、遠方から通う人の交通費を分けると、負担が一人に寄っていないかを話しやすくなります。維持費の細かい内訳は、空き家の維持費で確認できます。
3. 親の希望と今の名義を確認する
家の状態とお金が分かっても、親の希望と今の名義があいまいなままだと、次の話は進みにくくなります。管理を続けるのか、売却や解体も考えるのかを話す前に、親がどうしたいかと、土地・建物が誰の名義かを分けて確認します。
親に聞くときは、いきなり「売る?」と聞かない方が話しやすいです。まずは、今後も住み続けたいか、入院や施設入居が長引いたら家をどうしたいか、固定資産税通知書や権利証、登記識別情報などの書類がどこにあるかを聞きます。
親の希望が分かったら、兄弟姉妹には1章の写真と2章の年額費用を共有します。誰が現地へ行けるのか、誰が支払いを確認するのか、役所や業者からの連絡を誰が受けるのかを分けると、負担が一人に寄りにくくなります。
名義は、固定資産税通知書の宛名だけでは判断しません。土地と建物の登記事項証明書で、登記上の所有者を確かめます。売却、解体、相続登記の相談では、今の所有者が分からないと、誰の同意や書類が必要か確かめ直すことになりやすいためです(法務局「各種証明書請求手続」)。
親名義なら、親の判断能力や今後の希望をふまえて話を進めます。親のままの名義で何を確かめるかは、実家の名義が親のままだったときに確認することで詳しく触れています。
祖父母名義のまま、共有者が分からない、相続後の登記が未了といった場合は、家族だけで判断せず、法務局や司法書士へ確認する前提で考えます。相続登記義務化の期限や相談先は、相続登記義務化で親の家は何を確認する?も参考にしてください(法務省「相続登記の申請義務化について」)。
4. 次に確認することを選ぶ
ここまで見ても、売る・残すをすぐに決める必要はありません。大切なのは、家の状態、お金、親の希望と今の名義のうち、どこが一番詰まりそうかを見つけることです。
家の状態が心配なら、親の暮らしやすさと空き家になった後の管理を深掘りします。親の施設入居や老人ホーム入居がきっかけなら、親が施設に入ったら実家をどうするかで先に方針と管理の順番を確認できます。鍵、郵便物、水回り、近隣連絡など、空き家直後に必要な動きは 親の実家が空き家になったら最初にやること で確認できます。
維持費が重いなら、年額の内訳をもう少し細かく分けます。税金、保険、光熱費、草刈り、帰省交通費、修繕を並べると、管理を続けるのか、売却・活用も比べるのかを話しやすくなります。詳しくは 空き家の維持費、売却も候補に入るなら 実家を売る費用 を確認してください。
名義があいまいなら、登記事項証明書を取り、法務局や司法書士へ確認する材料をそろえます。親名義のままなら 名義確認の記事、相続登記の期限や相談先が気になるなら 相続登記義務化の記事 に進みます。
家族に共有するときは、写真、年額費用、今の名義を一緒に見られる状態にします。結論を急ぐより、同じ写真や費用をもとに「次に何を確認するか」を選べる状態にしておく方が、親や兄弟姉妹とも話しやすくなります。
参考情報
- 消費者庁:高齢者の事故を防ぐために
- 厚生労働省:福祉用具・住宅改修
- 国土交通省:空き家の管理のやり方
- 国土交通省:令和6年空き家所有者実態調査結果 PDF
- 法務局:各種証明書請求手続
- 法務省:相続登記の申請義務化について
- 法務省:成年後見制度・成年後見登記制度
制度や手続きは、自治体や個別事情によって扱いが変わることがあります。家の管理、住宅改修、登記、相続に関する個別判断は、自治体窓口、法務局、司法書士などへ確認してください。