親が施設に入ったら実家はどうする?空き家になる前にやるべきこと

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空き家になりそうな実家の鍵と連絡先を確認する線画イラスト

親が施設や老人ホームに入ったら、実家はどうする?

親が介護施設や老人ホームに入ると、実家はその日から誰も住まない家になります。「また戻るかもしれないから」と手を付けないまま、数年たってしまう家が少なくありません。

住む人がいなくても、固定資産税、火災保険、電気・水道の基本料金、庭木の手入れはかかり続けます。ちょうど施設の月額費用が始まる時期と重なるため、実家の維持費は早めに金額で見えるようにしておくと、家計の判断がしやすくなります。

やることは5つです。家の方針を決める、書類を集める、家財を分ける、ライフラインを見直す、相続に備える。この順で進めると迷いにくくなります。

この記事が向いている人
  • 親の施設入居が決まり、実家が空き家になりそう
  • 売るか残すか、まだ決められない
  • 何から手を付ければいいかを知りたい
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空き家になりそうな実家の外まわりを確認する線画イラスト

1. 親が施設に入ったら、実家は「空き家予備軍」になる

入居直後に売却を急ぐ必要はありません。体調が戻って帰宅する可能性もありますし、「家は残しておきたい」という本人の気持ちもあります。

ただ、決めないことと、何もしないことは別です。閉め切った家は湿気で傷みが早まり、郵便受けがあふれると、空き家だと外から分かってしまいます。雑草や庭木の枝は、隣の敷地に越えたところから苦情になります。

制度の面でも放置は不利になりました。2023年12月の空家法改正で、放置すれば危険な状態になりそうな家は「管理不全空家」として指導・勧告の対象になっています。勧告を受けると、固定資産税を軽くしている住宅用地特例(課税標準が最大6分の1)が外れる場合があります。制度の中身は管理不全空き家の記事で確認できます。

総務省の住宅・土地統計調査では、2023年時点の空き家は全国で約900万戸、住宅の13.8%です。特別な家の話ではなく、どの実家にも起こる流れです。

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家族で実家の方針を話す線画イラスト

2. 最初に決めるべきは、片付けではなく「家の方針」

片付けから始めると、品物ひとつごとに「捨てていいのか」で手が止まります。先に決めるのは家の扱いです。維持する、売る、貸す、家族で使う。この4つのどれに寄せるかで、片付けの深さも順番も変わります。

今は選べない、という状態でも構いません。その場合は保留の期限だけ決めます。「次の介護認定まで」「入居から半年」「医師に帰宅の見込みを聞くまで」。期限のない保留は、そのまま数年たちます。

あわせて、親本人の意思を聞いておきます。実家は親の財産なので、子どもの判断だけで売る・貸す・取り壊すことはできません。「売ってもいいか」「家財をどうしたいか」「判断を誰に任せたいか」。この3つは、本人と普通に話せるうちにしか聞けません。聞けなくなった後にどうなるかは、ステップ5で扱います。

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実家の書類と郵便物を確認する線画イラスト

3. 空き家になる前にやる実家整理

方針が決まっていなくても、書類集めは今日から始められます。探して1か所にまとめるのは次の6つです。

  • 登記済権利証(登記識別情報通知)。売却や名義確認で最初に聞かれます。
  • 固定資産税の納税通知書・課税明細書。維持費の計算にそのまま使えます。
  • 火災保険の保険証券。空き家になると契約の変更が必要な場合があります。
  • 通帳・印鑑・年金関係の書類。施設の支払い管理にも使います。
  • 介護・医療関係の書類。介護保険証、診療の領収書など。
  • 公共料金の検針票・請求書。契約の一覧化と解約の連絡先に使います。

家財は「施設に持っていく」「家族が引き取る」「処分する」の3つに分けます。写真、位牌、貴金属、現金、契約書だけは一人で捨てないこと。あとから「勝手に捨てた」という親族間の火種になりやすいものです。

ライフラインは、止めるものと残すものを分けます。管理のために電気と水道を残す家は多いです。郵便は日本郵便に転居届を出すと1年間転送されます。新聞と定期購入は解約。火災保険は「空き家になる」と保険会社に連絡します。住宅向けの契約のままだと、補償の対象外になる場合があります。

最後に、隣近所へ「しばらく空き家になります。何かあればこの番号へ」と連絡先を渡しておくと、異変の連絡が早く入ります。

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実家を売る・貸す・残す選択肢を考える線画イラスト

4. 売る・貸す・残す、判断の基準

迷ったら、年間の維持費を先に出します。固定資産税、火災保険、電気・水道の基本料金、草刈りや剪定、帰省の交通費。合計すると年間10万円台から数十万円になる家が多く、「残したい」と「残せるか」を分けて考えられるようになります。費用の内訳は空き家の維持費の記事にあります。

売るなら、複数の不動産会社に査定を頼みます。家財が残っていても、築年数が古くても査定は受けられます。解体して土地で売るか、そのまま売るかは、査定額を見てから決めれば足ります。売却前の段取りは親の家を売る前に確認する5つのことで扱っています。

貸すなら、水回りと耐震を先に確認します。築年数の古い戸建ては、貸せる状態にするリフォームに数百万円かかることがあります。家賃から、リフォーム費、管理費、空室の期間を引いた残りが実際の収入です。

残すなら、決めるのは3つ。誰が費用を払うか、誰が見に行くか、将来誰が相続するか。この3つを決めない「なんとなく共有」が、後になって一番もめます。

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相続後の手続きを確認する線画イラスト

5. 相続後に慌てないための準備

親が亡くなると、実家の問題は相続の問題になります。2024年4月から相続登記は義務です。相続で取得を知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります。手続きは司法書士に頼むのが一般的です。

税金には期限があります。自宅を売ったときに譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例は、住まなくなった日から3年目の年末までに売ることが条件のひとつです。施設入居のケースや相続後に売るケース(いわゆる空き家特例)は条件が細かく分かれるため、売る方向になった時点で税理士か税務署に確認してください。

売却時に引かれる仲介手数料などの費用は、実家を売る費用の記事で先に見ておけます。

特例は「親の存命中に売る場合」と「相続してから売る場合」で制度が別です。どちらも期限と建物の条件があります(参考情報の国税庁ページ)。

もうひとつの期限は、親の判断能力です。認知症などで本人が判断できなくなると、本人名義の家は成年後見制度を使わないと売れず、居住用の不動産の処分には家庭裁判所の許可も必要になります。手続きには時間がかかり、売りたい時期に売れないことがあります。

施設に入った直後は、本人と話せて、書類も一緒に探せて、家もまだ傷んでいません。実家の手続きが一番進めやすい時期です。まずは書類集めから始めてください。

参考情報

制度や税務は改正されることがあります。個別判断は自治体、法務局、税務署、司法書士、税理士、不動産会社などへ確認してください。