空き家の売却は仲介と買取どちらを選ぶ?価格・期限・手取りの比べ方
空き家を売ることは決まった。そこで迷いやすいのが、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買ってもらう「買取」です。
どちらが得かは、査定額だけでは決まりません。売却後に残るお金、売りたい日、内覧や片付けにかけられる時間を並べると、自分の家に合う売り方が見えてきます。
この記事は約6分で読めます
1. 仲介と買取では、家を買う相手が違う
仲介と買取の違いは、買主です。仲介では、不動産会社と媒介契約を結び、その会社に個人や法人の買主を探してもらいます。購入希望者が見つかるまで内覧や条件交渉があり、売買契約が成立した場合は、合意した仲介手数料を上限の範囲内で支払います。
買取では、不動産会社が買主になります。提示された価格と引渡条件に合意できれば、一般の購入希望者を探す工程はありません。不動産会社が直接買主になる契約なら通常は仲介手数料もかかりませんが、登記、測量、残す家財、税金など、仲介手数料以外の負担まで消えるとは限りません。
不動産会社に買主探しと契約の調整を依頼する。売主は、売出価格、内覧、値下げ、引渡条件を相談しながら決める。
不動産会社が買主になる。提示価格だけでなく、引渡日、家財、建物の不具合をどこまで売主が対応するかも確認する。
国土交通省は、媒介契約を「売主や買主が、不動産業者へ取引の仲介を依頼する契約」と案内しています。一般媒介、専任媒介、専属専任媒介では依頼できる会社数や報告方法などが異なるため、仲介を選ぶ場合は媒介契約の種類も確認が必要です(国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」)。
2. 「売り出す価格」と「買取価格」の両方を聞く
「買取は相場の何割」といった一般論だけでは、目の前の空き家にいくら残るかは分かりません。立地、接道、建物の傷み、境界、残置物、再販売に必要な工事によって、会社の評価は変わります。
最初の査定で確認したいのは、仲介ならいくらで売り出す提案なのか、その価格で売れると考える理由は何かです。買取にも対応する会社なら、直接買い取る場合の価格と条件も書面で出せるか尋ねてください。買取を扱わない会社に、無理に価格を出してもらう必要はありません。
周辺の取引価格は、国土交通省の不動産情報ライブラリで調べられます。ただし、同じ地域でも面積、形状、道路、取引事情によって価格は変わります。近隣の取引価格と、実家の成約価格は一致しません(国土交通省「不動産情報ライブラリ」)。
- 土地と建物の名義、面積、築年、空室になった時期
- 雨漏り、傾き、増改築、境界など分かっている状態
- 残す家財と、売主が処分できる家財
- 売却を終えたい日と、訪問査定へ対応できる日
- 仲介での売出提案、直接買取・買取保証への対応有無
持ち家売却は、一度の入力で複数の不動産会社へ訪問査定を依頼できるサービスです。利用には、申込みから10日以内の本人確認・日程調整と、30日以内の訪問査定への対応が必要です。紹介先が直接買取や買取保証を扱うかは一律ではないため、査定会社ごとに確認してください。
まだ売主や登記名義が決まっていない場合は、査定会社を増やす前に親本人・子の代理・成年後見人等の誰が売るかを確認してください。
3. 査定額ではなく、売却後に残るお金を比べる
仲介の査定額と買取価格を横に並べただけでは、比較は終わりません。仲介の査定額は「この価格で売れることを保証する金額」ではなく、売出価格の提案です。実際の成約価格や売却までの期間は、購入希望者の反応と条件交渉で変わります。
比べたいのは、売却後の手取りです。仲介案は想定成約価格から仲介手数料、片付け、修繕、測量、登記などの売主負担を引きます。買取案も、提示価格から売主負担として残る費用を引いてください。
家財をそのまま残せる、測量は買主側で行う、建物の不具合について売主の責任範囲を限定するなど、価格以外の条件に金額差が出ることもあります。口頭の「全部お任せ」ではなく、何を残せて、何をいつまでに売主が行うのかを見積書や売買条件に書いてもらいます。
仲介手数料には法令に基づく上限がありますが、そのほかの費用は物件ごとに違います。費用項目は実家を売るときに売却代金から差し引かれる7項目で確認できます。複数社の提案は同じ表へ並べ、売主負担と売却期間を同じ項目で見比べてください。
一番高い査定額ではなく、希望する日までに、条件を守って、いくら残る見込みか。ここまで答えられる提案を比較対象にしてください。
4. 売りたい日までに間に合うか、現地対応を含めて考える
早く売りたい理由が、固定資産税の支払日なのか、冬の雪下ろしなのか、施設費の支払いなのかで、使える時間は変わります。まず「この日までに売買契約を結びたい」ではなく、「この日までに代金を受け取り、鍵を渡して管理を終えたい」という引渡しの希望日を決めます。
仲介では、訪問査定、媒介契約、販売開始、内覧、条件交渉、売買契約、決済・引渡しへ進みます。内覧のたびに帰省できないなら、不動産会社へ鍵を預けられるか、家財をどこまで残して販売できるかも期間に影響します。
買取でも、価格提示だけで当日に売却は終わりません。名義、境界、建物の状態、残置物、本人確認、契約書類、決済日の調整が必要です。「最短○日」という広告ではなく、自分の物件で、どの確認が残り、いつ引き渡せる見込みかを聞いてください。
遠方の実家なら、内覧、契約、決済で現地へ行く人も先に決めておきます。帰省を減らす具体的な段取りは、遠方の実家を査定から引き渡しまで進める方法で確認できます。
5. 仲介から始めるなら、買取へ切り替える日を決めておく
価格を優先して仲介から始める場合も、「売れなかったらそのとき考える」では、値下げと管理費だけが続きます。販売を始める前に、反響を振り返る日、売出価格を見直す日、買取価格を取り直す日を決めてください。
たとえば引渡し希望日から逆算し、仲介を続けられる最終日を不動産会社と共有します。その日までに申込みがなければ、価格を見直す、直接買取や買取保証へ切り替える、いったん売却を止める、という三つの選択肢から決めてください。
- 販売状況と内覧後の反応を確認する日
- 売出価格を見直す日と、下げられる金額
- 買取へ切り替える日と、確保したい最低手取り
買取価格にも期限が付くことがあります。最初に受け取った価格が数か月後も同じとは考えず、切替時点で建物状態と条件をあらためて確認してもらいます。
仲介と買取は、片方を最初から正解にする話ではありません。納得できる価格を探す時間と、管理を終えたい期限の両方を決めておけば、仲介を試した後に買取へ移る判断も迷いにくくなります。不動産会社を選ぶ段階では、査定額の根拠と売却実績を比べる5つの基準も使ってください。
参考情報
仲介・買取の価格、売却期間、残置物、測量、契約不適合責任、引渡条件は、物件と不動産会社によって異なります。個別の条件は査定書、見積書、媒介契約書、売買契約書で確認してください。税金は税務署または税理士、登記は法務局または司法書士へ確認してください。
実家を売る費用はいくら?売却代金から差し引かれる7項目
遠方の実家を売るには?帰省を減らす査定・契約・引き渡しの進め方