実家のこれから編集部 公開

遠方の実家を売るには?帰省を減らす査定・契約・引き渡しの進め方

実家を売る方針は決まった。でも、査定や内覧のたびに片道4時間を往復するのは難しい。そんなときは、家へ入る人、売主本人が対応する場面、郵送やオンラインで進めたい場面の三つに切り分けると、必要な帰省が分かります。

帰省を減らしても、現地で必要な作業は残ります。名義と鍵から始め、訪問査定、内覧、契約、決済の順に担当者を決めれば、不動産会社へ遠方の事情を具体的に伝えられます。

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遠方の実家にいる不動産会社とビデオ通話し、鍵と売却書類を確認する50代女性の線画イラスト
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1. 実家の名義・売却意思・鍵を先に確認する

最初に必要なのは、土地と建物の名義、売却に同意する人、室内へ入るための鍵です。固定資産税の課税明細で地番と家屋番号を探し、土地と建物の登記事項証明書を別々に取ります。登記事項証明書はオンラインで交付請求し、郵送で受け取ることもできます(法務省「オンラインによる登記事項証明書等の交付請求」)。

所有者欄で現在の名義人と住所、共有なら持分も確かめてください。亡くなった親の名義が残っている、土地と建物の所有者が違う、共有者の一人と連絡が取れない場合は、査定後の契約で止まるおそれがあります。

親が存命なら、親本人が売主になるのか、子に代理権を与えるのかが分岐です。親の代わりに子が連絡を担当しても、売買条件の理解や本人確認まで省けるわけではありません。違いは親本人・子の代理・成年後見人等が売る場合で確認できます。

相続した実家なら、相続登記を終えて売却できる名義になっているかが入口です。登記の期限と売却までの流れは別なので、名義が親のままなら相続登記の期限・必要書類へ進んでください。

鍵は「誰が持っているか」だけでなく、玄関、勝手口、物置、門扉を分けて数えます。親族や近所の人へ預けている場合は、不動産会社へ渡してよい鍵と、訪問査定の日に立ち会える人を聞いておきます。

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2. 訪問査定へ入れる人と日時を決める

物件の住所、土地・建物の広さ、築年、空室か居住中かが分かれば、最初の相談は遠方からできます。国土交通省の不動産情報ライブラリでは、周辺の取引価格や成約価格を地域から検索できます。ただし、前面道路、建物の傷み、境界、家財の量までは同じではないため、表示された価格を実家の査定額とは考えません(国土交通省「不動産情報ライブラリ」)。

売り出し方まで相談するなら、室内と敷地の状態を価格へ反映する訪問査定へ進みます。

自分が帰省できない日は、親族が開錠する、不動産会社へ鍵を預けるなど、現地へ入る方法を各社へ伝えてください。売主が立ち会わない査定を受けるかは会社ごとに違うため、申込み前に一律とは考えないでください。

  • 土地と建物の名義人、共有者、申込者と売主の関係
  • 実家の住所、建物の種類、面積、築年、空室・居住中の別
  • 玄関や物置の鍵を持つ人と、室内へ入れる方法
  • 家財、雨漏り跡、増改築、境界など分かっている状態
  • 訪問査定へ対応できる日と、売却を希望する時期

鍵と訪問日が決まっていない段階では、査定会社を増やすより現地へ入る方法を決めるほうが先です。訪問査定へ入れる状態になれば、遠方対応の範囲も含めて複数社の提案を比べられます。

持ち家売却は、一度の入力で複数の不動産会社へ訪問査定を依頼できるサービスです。利用には、申込みから10日以内の本人確認・日程調整と、30日以内の訪問査定への対応が必要です。遠方物件への対応地域や、売主が立ち会わない査定の可否は、紹介された各社へ確かめてください。

申込み前に名義、連絡方法、鍵、訪問日程がそろっているかは、実家を売る前の5項目で確認できます。

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3. 内覧は不動産会社に任せ、鍵と家財の扱いを共有する

媒介契約を結んで販売が始まると、購入希望者の内覧が入ります。毎回帰省できない場合は、不動産会社が鍵を預かり、担当者が開錠して案内できるかを媒介契約の前に尋ねてください。

鍵を渡すなら、預ける本数、対象の扉、返却日を預かり証に残します。内覧後に施錠した場所、照明や水道を使ったか、窓を開けたかをどの方法で報告してもらえるかも決めておくと、遠方でも家の状態を追えます。

権利証、実印、通帳、貴金属、個人情報が入った書類は、販売開始前に持ち出してください。

家具をすべて処分してから売り出す必要があるとは限りません。残す家財、売主が処分する物、買主へ残せる可能性がある物を不動産会社へ伝え、引渡条件に含められるかを尋ねてください。

電気や水道を止める時期も聞いてください。内覧時の照明、設備の動作確認、清掃で使うことがあります。家財の扱いに迷う場合は、査定前に片付ける範囲を先に読むと、捨てる物と査定後に決める物を分けられます。

媒介契約前に聞くこと:鍵の預かり証、内覧後の報告、施錠確認、電気・水道、残す家財、緊急時の連絡先
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4. 売買契約と本人確認を郵送・オンラインで進められるか聞く

買主と条件がまとまった後は、重要事項説明と売買契約へ進みます。宅地建物取引業法に関する重要事項説明書などは、相手の承諾と実施条件がそろえば電子提供でき、ITを使った重要事項説明の環境も整えられています(国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」)。

ただし、「IT重説ができる」ことと「契約から決済まで一度も対面しなくてよい」ことは同じではありません。不動産会社、買主、司法書士、金融機関によって、オンライン面談、郵送、対面、実印を押した原本の要否が変わります。

不動産会社は、売買契約や媒介に先立ち、顧客の氏名・住所・生年月日、取引目的などを確かめます。運転免許証などをいつ、どの方法で提示するかを早めに聞いてください(国土交通省「不動産業者のための犯罪収益移転防止法等連絡協議会資料」)。

不動産会社への伝え方

売主は県外に住んでいます。重要事項説明と売買契約はオンラインまたは郵送を希望しています。本人確認、原本の郵送、司法書士との面談で、対面が必要になる場面を先に教えてください。

契約書が届いてから期限に気づくと、手付金の受領や契約日をずらすことになります。本人確認の日、書類の発送日、返送期限、オンライン説明の日を、売買契約の予定表へ入れてもらいます。

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5. 決済日までに司法書士との面談と鍵の引き渡しを終える

決済日には、買主から売買代金を受け取り、所有権移転登記に必要な書類を渡す段取りです。

売主が遠方にいる場合は、司法書士がいつ本人確認を行い、どの原本をどこへ送るのかを売買契約後すぐに尋ねてください。

不動産登記にはオンライン申請の仕組みがありますが、売主側で必要な本人確認や原本がすべてオンラインだけで済むとは限りません(法務省「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」)。登記識別情報、実印、印鑑証明書、住所変更や抵当権抹消に使う書類は、担当する司法書士の案内を受けてからそろえてください。

住宅ローンが残っている場合は、完済と抵当権抹消の手続きを金融機関へ尋ねてください。売買代金の入金口座、ローン返済額、仲介手数料や登記費用の支払方法も、決済日の前に書面で確かめてください。

  • 司法書士との本人確認日時と、原本書類の発送・到着期限
  • 売買代金の入金口座、ローン完済、抵当権抹消の手続き
  • 玄関、勝手口、物置、門扉など、買主へ渡す鍵の本数
  • 設備の説明書、境界資料、管理記録、残す家財の一覧
  • 売主、不動産会社、司法書士のうち、決済と現地確認へ立ち会う人

帰省を減らせるかどうかは、査定の段階より、契約と決済の担当者が決まったときに見えてきます。対面が必要になった場合の帰省候補日も一つ残し、郵送の遅れだけで決済日が動かない日程にします。

相続した実家を売る場合の全体順は、名義確認から引き渡し・確定申告までの流れで確認できます。不動産会社を選ぶときは、査定額に加えて遠方対応と売却実績を比べる5つの基準を使ってください。

参考情報

本人確認、郵送・オンライン契約、決済、登記に必要な書類は、売主、物件、買主、金融機関、不動産会社によって変わります。個別の日程と方法は、不動産会社、司法書士、金融機関へ確認してください。